超進学校(泉丘高校)出身、麻雀育ちのTOEIC講師

僕は高校受験期(つまり中学3年生)こそ、
英語を人並み以上に勉強した。

石川県でトップの泉丘高校に進学するために
それはそれは英語の勉強をした。

なんとか第一希望の泉丘高校に合格し
点数開示をすれば『英語:89点』と
そこそこの数字を出していた。

しかしそれは過去の話。

ギリギリで合格した僕。

相対的に『バカ』になった僕。
(みんな驚くほど勉強家だった)

麻雀・競艇・アルバイト・ボクシングに
ハマった僕。

ちょっと本気出しただけで泉丘に入れたんだから
てっきり自分は天才なんだと思いこんでいた。

アルバイト先で『泉丘』という名前を出せば
絶対に「へぇ、すごいねー」と一線を引かれる
リアクションを頂く。

褒められているんだけど、それが嫌で
敢えて『泉丘らしくないこと』に傾倒する。

それが麻雀であり、バイトであり
ボクシングであり、競艇だった。

高校1年生の時に人生で初めて
アルバイトを経験する。

しかもテレアポ。

初月から巧みなトークを使って
石川県・福井県・富山県の北陸三県から
合計で17の成約を勝ち取る。

びっくりした。
時給1600円、初月給料8万円。

15歳の僕には大きすぎるお金だった。

そのうちの9000円をカシミボクシングジムにおさめ
残りの7万1000円を全てギャンブルに使った。

あれが全ての始まりだった。

高校2年生、Writingのクラス。
先生が答え合わせをしたテスト。

中学生の時は
テスト返しの日は楽しみで仕方なかったのに、

高校生になれば
懺悔の時間ように思えた。

運が良いのか悪いのか
僕の名前は石崎なので
いつも出席番号が1番か2番。

先生が僕の名前を呼び
一言コメントする。

『石崎ぃ、ちゃんと勉強せーよ』

(うるせーな。人生楽しーからいいの)

確かに人生でもっとも
何かに没頭していた時期だった。

勉強とは別の"課外授業"に没頭すればするほど
僕の勉強への思いは漸減し、
同時に英語への苦手感は倍増していった。

結局大学受験に失敗し、
そのまま札幌の私立大学に通うことになった。

中学生の時は、勉強すれば周りから評価され、

高校生の時は、勉強しないから周りからバカ呼ばわりした。

論理的帰結として『じゃあ大学生の間はずっと勉強しよう』と
短絡的な発想をしたことを今でも後悔している。

日本の義務教育は人間から『ハマる』技術を奪い去る。

これについては別項でもう一度話すことになるが
取り敢えず、僕は日本の義務教育を全く評価していない。

何はともあれ、大学生中は勉強しようと決心すれば
「まず何をするか」を決めなきゃいけない。

そこで3冊の本を手に取った。

勝間和代の年収10倍アップ勉強法と
本田直之のレバレッジ勉強法と
大前研一のザ・プロフェッショナル。

なんということだろう。
いずれの本も『英語・IT・会計(金融)』の3つを挙げている。

この3つをやらにゃならん!

一番最初は英語だ。

大学受験である程度の文法を勉強したし、
センター試験でも160点を取った。

一番手っ取り早いのは英語だ!

そう思って、英語の勉強をしようと決める。

運が良いことに(悪いことに?)
勝間和代さんの本にTOEIC900という数字が
掲載されていた。

たしかTOEIC900ってスゴイ数字だよね。
だって大学受験英語で有名な安河内哲也でさえ
TOEIC990でしょ?

そんな、法学部の僕がTOEIC900なんていけるの?

大学受験に失敗した僕が
TOEIC900って言葉を発するだけで
どこか罪深い気持ちになる。

でもそんなこと言っていても何も始まらない。

『東大・京大、生協売上No1』というカバー帯に
学歴コンプレックスand情弱の僕は一気にひっかかり
その悪しきTOEIC本を購入した。

(TOEIC講師の目から見て、あれは最悪の本)

悪しき本は未来からの伝言であり
当時の僕には聖書にしか見えなかった。

(だって、東大と京大の1位よ?最強じゃん?)

情報弱者はいつも騙される。

テキトーにソファに横になりながら
単語帳を眺めて、

1日に2時間ほど
問題の解説を読んでいるだけで

なぜか頭がよくなった気がした。

勉強している自分に惚れかけていた。

そして、たった数日の勉強で
TOEICの公開テストを迎える。

最後の50問位は全て
『奥義・連続(A)塗り』を披露し
適当に全部(A)にマークした。

試験終了前のたった1分ほどで
50個ほどを塗り終えた時
『もしこんな塗りつぶし専門の職業あったら
 絶対に幹部クラスになるわ』
とか意味の分からないことを考えながら
帰り支度をする。

今振り返ると、
全然、出来なかったくせに
『なんとかなる』と思っていた当時の自分を
斬り殺したい気持ちでいっぱいになる。

スコアが帰ってくるまで
本当の意味での敗北を知らなかった。

敗北の苦痛を。

敗北のストレスを。

敗北の悲しさを。

敗北の虚しさを。

テストを受けた一ヶ月後。

スコアが帰ってきた・・・。

(続く)